些細なことだと思われずに何でもご相談ください
お子様の体調不良や病気を幅広く診療いたします。お子様のご様子に少しでも不安を感じられたら、些細なことだと思われずにお気軽にご相談ください。保護者の皆様が、お子様の病状や治療についてわかりやすい説明をいたします。
予防接種についてお子様の具合が特に悪いときは
スムーズな診療を行うために
下記に記載ある「お子様の症状」について、お教えてください。保護者の皆様からできるだけ詳しい情報いただけることで、早い段階で正確な診断を行えます。
- お子様の症状はいつ頃から現れ始めたか
- 発熱、せき、痰、鼻みず、のどの痛みの有無、その他の症状
- おしっこ・うんちの状態(表現が難しいなど、異常がある場合は撮影してお持ちください。)
- 食欲の有無、食べる量、普段と比べてどの程度か?
- 薬に対するアレルギー有無
- 現在、服用させている薬(お薬手帳)、継続して通院している病院
- 現在までに経験した大きな病気・手術・入院の有無など
- 入院の有無など
記載されていない症状でも、お子様が「つらそう」な様子であったり、「機嫌が悪そう」などの症状が見られた場合は、不安なお気持ちやご心配ごとを抱える前に、遠慮なくご来院ください。
発熱
赤ちゃん、特に生後3ヶ月未満の乳児の発熱は、細菌感染症が原因になっていることがあります。早い段階で当院をご受診ください。
赤ちゃんの検温の注意点
赤ちゃんは、37.5度以上は発熱としますが、以下の様な要因で簡単に体温が上がります。
- 哺乳後
- 啼泣後
- 布団の掛けすぎなど
熱があると確認されても、慌てずに布団や洋服で調整しましょう。複数回体温の計測もしましょう。
年長児のお子様
年長児の発熱の多くは、ウィルスによる「かぜ症候群」です。 体温が上昇することでウィルスの増殖がおさえられることから、発熱は病気を治そうとする身体の正常な反応と言えます。お子様の身体の状態を見て、頚部、わきの下、鼠径部など太い動脈がある部位を冷やして経過を見ましょう。高熱でつらそうな様子、発熱の経過が長い時、全身状態良くない場合は、早めに当院をご受診ください。
咳・呼吸が苦しそう
咳の原因のほとんどが、ウィルス感染による急性上気道炎・気管支炎です。 「安静にする。適切な食事の摂取。生活管理。」で軽快してきます。 しかし、この「咳・呼吸が苦しそう」な状態が長期化すると体力が低下します。細菌感染症などを合併する場合もあり抗生剤等の治療が必要になります。
また、喘鳴(ゼーゼーする呼吸)があり苦しそうな症状の場合は、異物誤嚥、気管支喘息発作、喉頭炎(クループ)などの可能性があるので、早めに当院をご受診ください。
ひきつけ(けいれん)
お子様の「けいれん」の多くが熱性痙攣です。生後6ヶ月から6歳までの子どもにみられます。3~5分以内で止まる痙攣がほとんどですが、実際に経験すると実に長く感じます。持続時間は大切な指標なので発見したときは時計を確認するかスマホの録画ボタンを押してください。その後仰向けにさせ寝かせ、顔は横向きにしましょう。(顔を横に向かせるのは嘔吐しても気道に吐物が入らないようにするためです。)初回で5分以
発疹
皮膚の症状は実際に目で見ないと診断ができません。 受診時に、発疹があることを受付にお伝えください。 発疹に状態によっては風疹などの感染症の疑いもあるため別室でお待ちいただくことがあります。発疹はすぐ消えてしまう場合もあるので、発見したときは発疹のアップと全身を撮影しておくとよいでしょう。
夜なき
夜泣きは、生後3~4か月ごろからみられます。 1歳6ヶ月を過ぎるころになると、お父さん、お母さん、保護者の皆様を悩ますほどの夜泣きは、ほとんどなくなります。夜泣きの原因は「のどが乾いた、おなかがすいた、暑い、寒い、おむつがよごれた、不安、興奮など」が考えられます。しかし、決定的な原因がわからないことも多くあります。漢方薬を服用することで夜泣きがなくなることもあります。お子様の夜泣きにお困りの場合は、当院にご相談ください。
下痢
乳児は、胃や腸などの状態が、まだまだ不安定な時期のため、しばしば軟らかい便の場合があります。いつもと変わらず機嫌がよくミルクを飲んでいる状態であれば心配いりません。 しかし「下痢の回数が多い、便の色がいつもと違う、発熱や嘔吐をともなう」などの場合は、早い段階でご相談ください。 また、グッタリとして元気がないなら脱水の心配もあります。 特に乳幼児では脱水が急激に進行することがありますのでご注意ください。
便秘
排便が5日以上でない日が続く、週に3回未満の排便回数、または排便に苦痛や困難を伴う場合は便秘です。個人差はありますが、お子様の便秘は、以下の時期が発症しやすいと言えます。
- 乳児における食事移行期
- 幼児におけるトイレトレーニング期
- 学童における通学開始期
特に2~4歳の幼児期の慢性便秘は、食欲がなくなり成長・発達に遅れが生じる可能性があります。慢性便秘が悪化し長期にわたると、腸管内に多量の硬い便が貯留し腸がふくらんでしまう状態になります。便が漏れたり、腸管からの便意を促す指令が弱ってしまうことがあります。 便秘症状がある場合は、悪化する前に、お気軽にご相談ください。
嘔吐(おうと)
お子様は、胃や腸が不安定な状態ですから、しばしば「嘔吐(おうと)」をします。「嘔吐」した後であっても、機嫌よくしている状態であれば心配はいりません。お子様の様子をしばらく観察していてください。咳き込みが強い時によくみられる嘔吐も心配いりません。 しかし、頻回の嘔吐の場合や嘔吐の後に顔色が悪い状態が続く場合は、すぐに当院にご受診ください。
便に血が混じる
お子様が発熱を伴っており、更に便が軟らかい状態の時は、便に少量の粘液とともに血が混じることがあります。しかし、血便が続いたり、不機嫌だったり、ミルクを飲まないようなら受診してください。 特に、乳児が激しく泣いたり、嘔吐したり、さらに血便がみられたら腸重積の心配もありますので、すぐに最寄りの医療機関を受診ください。
夜尿症
幼児期を過ぎても夜間や睡眠中に無意識に排尿することを夜尿症と言い、5歳児の20%程度にみられその後1年毎に15%程度のお子さんは自然に治っていきます。一般的には小学生以上が治療の対象となります。 夜尿症の原因の多くは遺伝性があり、尿意があっても覚醒しない、夜間にたくさん尿を作る、膀胱の容量が小さいなどの原因が考えられます。検査が必要なこともあり夜尿症が疑われる時は適切な施設にご紹介させていただきます。
家庭で日頃から取り組める「おねしょ」の対策方法
- 起こさない
- 焦らない
- 怒らない
- ほめる
- 比べない
子どもの肥満
子どもの肥満は、大人の肥満の原因になります。 特に年長児の肥満は、大人の肥満に移行しやすいことが知られています。思春期に肥満になってしまうと身長が伸びて体格が形成されてしまい肥満を引き起こす生活習慣が定着してしまうことから肥満から脱することがとても難しくなります。 小児期であっても肥満治療は重要です。できるだけ早い段階で治療を始めることが大切です。
肥満度は下記の式で計算します。
肥満度=(実測体重―標準体重)/標準体重×100(%)
幼児で肥満度15%以上は太りぎみ、20%以上はやや太りすぎ、30%以上は太りすぎです。
学童では肥満度20%以上を軽度肥満、30%以上を中等度肥満、50%以上を高度肥満といいます。
肥満の原因はほとんどが食事やおかし、運動不足、ゲームなどの生活習慣です。
※肥満のお子さんは自己肯定感が低めの子が少なくありません。目標に向かって「頑張る」ことが苦手な子が多くみられます。まずは本人に自信をつけさせることから始めましょう。何か出来たらほめる、目標が少しでも達成できればさらにほめる、できなければ目標を少し下げてみましょう。 小児肥満の改善は時間がかかります。できる範囲の低めの目標を立て、コツコツと焦らずじっくり見守ることが重要です。
子どもの貧血
鉄欠乏性貧血症状の多くは、ゆっくりと進行します。 体が鉄欠乏に慣れてしまい明らかな症状を自覚しない状態で貧血が進んでいることが少なくありません。特に年齢の低いお子様の場合は、自分から不調を訴えるようなことが無く、発見も遅れがちです。
保護者の皆様が、注意してお子様の様子を観察してあげることがとても大切です。ほとんどの鉄欠乏性貧血は、血液検査により診断可能です。 鉄欠乏性貧血の治療は、鉄剤や鉄シロップ・顆粒剤などの内服をします。但し、薬に頼るだけでなく、家庭での食事療法も併せて行いましょう。
以下は、お子様のかかりやすい代表的な疾患です。
- かぜ(急性上気道炎)
- 熱性けいれん
- 気管支炎
- 肺炎
- 嘔吐下痢症(多くはウィルス性胃腸炎)
- 尿路感染症
- 乳児湿疹
- 汗疹(あせも)
- 伝染性膿痂疹(とびひ)
かぜ(急性上気道炎)
上気道(鼻からのど、気管の入り口にかけての空気の通り道)にウィルスなどの病原体が感染し、炎症を起こしている状態を急性上気道炎と言います。主な症状はくしゃみ、鼻みず、鼻づまり、のどの痛み、せき、痰、頭痛、熱などです。発熱の程度はいろいろですが、乳幼児では熱が高く(38〜40℃)、症状も強くなる傾向が見られます。水分補給や栄養補給をしっかり行い(特に乳幼児では、脱水に注意が必要です)、安静を保つなどのケアを行ってあげれば、ほとんどは自然に治癒します。
熱性けいれん
子どものけいれんで最も多いのは「熱性けいれん」です。熱性けいれんは、字のごとく「熱があり、けいれんを起こす病気」です。生後5、6か月から5、6歳までの子どもに使われる病名で、尚且つ熱の原因が髄膜炎、脳炎など中枢性疾患や代謝性疾患ではないときです。
熱のほとんどの原因は、風邪などの感染症です。子どもの5、6%にみられるごくありふれたものです。遺伝性があると言われ、両親や兄弟に子どもの頃、同じ熱性けいれんを起こしたことが多くみられます。 一度、熱性けいれんをすると30%から50%の子どもが繰り返すことが多く、38度以上の熱を出してから24時間以内に起こることが多くあります。
2、3日熱が続いてから、けいれんを起こすときは、熱性けいれん以外にも髄膜炎や脳炎などの場合もあり注意が必要です。熱性けいれんで脳に影響することは非常に稀です。
気管支炎
気管支の粘膜に炎症が起こった状態です。急性上気道炎に3〜5日遅れて発症し、激しいせき、痰、発熱を伴います。原因の多くはウィルスで、上気道からの分泌物の下降や呼吸に随伴する吸い込みにより、ウィルス感染が下気道に波及することにより発症します。
ウィルスが原因の場合は、特別な治療法は無く、対症療法が中心になります。対症療法としては、鎮咳薬、去痰薬、消炎薬、気管支拡張薬などが用いられます。細菌感染が疑われる場合は、抗菌薬(抗生物質)を投与します。
肺炎
肺炎の原因にはウィルス性、細菌性、マイコプラズマなどがあります。
ウィルス性肺炎
ウィルス性肺炎の多くは、経過とともに自然に回復していく比較的予後の良いものです。ウィルス性肺炎の原因は、RSウィルス、パラインフルエンザウィルス、などによるものです。乳児期(18ヶ月以下、とくに6ヶ月未満)に多い細気管支炎もウィルス(主にRSウィルス)が原因ですが、1~3日の軽いかぜ症状のあとに、急速に症状が悪化し、激しいせきと呼吸困難、チアノーゼが現れてきます。細気管支炎は重篤な病気なので入院が必要になることがあります。
細菌性肺炎
気管支粘膜がかぜのウィルスによって障害されると、肺炎球菌、インフルエンザ菌などの常在細菌の攻撃を受けやすくなります。乳児では黄色ブドウ球菌が原因で肺炎を起こすと、重症化しやすいので注意が必要ですが、一般的に、細菌性肺炎は適切な抗生物質による治療が行われると、比較的速やかに回復していきます。
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ感染症は幼児から年長児の肺炎の原因になります。マイコプラズマ肺炎は、通常使用される抗生物質があまり有効でなく、マクロライド系・テトラサイクリン系といわれる抗生物質を使う必要があります。せき・発熱など、かぜ症状によって始まり、気がつくと肺炎を起こしているという事もあります。
通常のかぜならば、発熱しても3日くらいで解熱してきますが、発熱の持続、特に夜間の激しい咳などが見られるときは、マイコプラズマ感染症の可能性もあります。子どもがかぜをひいた際には、発熱後、何日経過しているかを数えてみる事も重要です。
嘔吐下痢症(多くはウィルス性胃腸炎)
嘔吐下痢症とは、ノロウィルスやロタウィルスなどのウィルスが体内に入り込み、ひどい嘔吐や下痢症状が現れる疾患です。熱は出ない場合が多く、出たとしても38℃前後と高熱には至らないケースがほとんどです。嘔吐や下痢は比較的短期間で治まりますが、脱水症状を起こす危険があり注意を要します。
通常、吐き気止めや整腸剤で治療しますが、食中毒など細菌感染(大腸菌、サルモネラ、キャンピロバクターなど)が疑われた場合(血便があるなど)は抗生剤の治療が必要になります。しかし、嘔吐下痢症を治すには、基本的にウィルスが体外に排出されるのを待つしかありません。子どもの状態を見守りながら、症状が治まるのを待ちましょう。
尿路感染症
細菌による腎尿路系(腎臓・尿管・膀胱・尿道)の炎症のことで、主に膀胱の感染症(膀胱炎)、もしくは腎臓の感染症(腎盂腎炎)を指します。尿道口から細菌が膀胱内へと侵入することによって発症し、膀胱に感染が留まっている場合は膀胱炎、細菌が上方に向かって腎臓に侵入すると腎盂腎炎を起こします。
尿路感染症か否かは、尿の中の細菌の有無を確認して診断します。発熱を伴わない膀胱炎なら、多くは抗菌薬を服用すれば丸1日で症状の改善が見られ、3日間も服用すれば治ります。しかし高熱を伴い、腎盂腎炎が疑われたケースでは、2週間ほどにわたる抗菌薬の投与が必要になります。